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大阪高等裁判所 昭和35年(ネ)1569号 判決

理由

控訴人の手形要件欠缺の主張について考えてみるに、甲第一号証から第一〇号証までの約束手形の記載自体によると、本件各手形には、「支払地 大阪市」、「支払場所 株式会社協和銀行守口支店」、「振出地 守口市」と記載され、振出人である控訴人の肩書住所として「大阪市旭区今市町二丁目一七〇番地」と記載されていることが認められる。思うに、支払地は履行場所の探知を容易にするために手形法が要求する絶対的記載事項であつて、もし任意的記載事項である支払場所(手形法四条)が支払地以外の地域に定められた場合は、前者の記載は違法であつて無効であると解すべきであるけれども手形自体の無効を来すものということはできない。次に「振出地」は準拠法決定の基準となる地を推定させるものであつて真実のそれと異なつても、手形要件としての効力に影響はないものと解すべきである。控訴人の右主張は採用できない。

被控訴人が原判決添附別紙目録(一)、(二)の手形を昭和三三年一一月一二日訴状送達によつて支払のために呈示したことは記録上明らかである(「支払地大阪市」と異なる地域にある「支払場所株式会社協和銀行守口支店」における支払呈示が無効であることは、前説示によつて明らかである。)。

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